軽井沢ホテルブレストンコート
平野由夏さん (3/9)
軽井沢ホテルブレストンコート
平野由夏さん (3/9)

自由を望むおふたりに、あえて上質なサービスとストーリー性を提案

最後は全員が調和!誰もが感動する“涙あふれるクライマックス”に…

これまでお手伝いをさせていただいたお客様それぞれに思い出や思い入れはあります。今回ブライダル総研主催のグッドウエディングアワードで発表させていただいた“Harmony wedding”は、“期待を超えて感動を生み出すことができた”と感じることができる結婚式だったので、ご紹介させていただきます。

新郎様は証券トレーダーをされている方で、新婦様はお医者様でした。
当日のおふたりはものすごく柔らかい雰囲気でしたが、最初にお会いした時は、お仕事柄かおふたりともキリッとした印象で、特に新郎様はサービスに対しても厳しい面をお持ちでした。当ホテルは、基本的にご成約までを担当させていただくアドバイザーと、当日まで担当するコーディネーターと分業で行っています。すでに「軽井沢らしい自由な結婚式がしたい」というご要望は伺っていましたが、私の方からさらに「この会場でどんなことがしたいですか」と質問をさせていただきました。すると、新郎様が「会場の魅力を生かしてほしい。ゲストの皆様には負担をかけずに自由に過ごしてもらえれば、特に突飛なこともすることもない。僕の希望はそれだけです」とおっしゃったんです。お式について、ほとんど新婦様にお任せするスタンスだった新郎様が、唯一そこだけは主張されていたので、“これはおふたりがすごく大切にしていることなんだな”と感じました。

結婚式の日程はゴールデンウィークの最終日で、首都圏から来ていただくゲストの方がほとんどでしたので、軽井沢に来てもらうというだけで多少なりとも負担がかかります。また日本人はパーティー慣れしていない人が多いこともあり、「カジュアルなお式で自由に過ごしていただく」という設定に戸惑ったり心配そうな顔をしているゲストの方を目にしたこともありました。おふたりに自信を持って「全員にとって絶対に負担はかかりません」と言いきれるのか…私の中では、ずっと気になっていたのです。

その後、おふたりの思い出を聞いていく中で“カジュアルではなく、上質なお式がふさわしいおふたりなのかもしれない”ということに気づきました。これまで上質なサービスに触れてきたおふたり。そんなおふたりの周りにいらっしゃるご家族の皆様、ご友人の皆様に対して、「自由にお座りください。自由にお食事を召し上がってください」というのは、どこかサービスがきちんとされていないような…自由が不自由に変わってしまう部分があるのではないかと心配になりました。

そこであえて、「まとまりがある調和の中で自由を感じてもらえるような過ごし方はどうか」とご提案させていただきました。“ハーモニー”というコンセプトにもつながりますが、ゲストの皆様にはバラバラに動いていただくのではなく、しっかりと道筋をつけることで、「安心して過ごせる…いつの間にか自由を受け入れて楽しんでいただける」そんなサービスはどうかと提案してみたのです。パーティーの要所要所で、自然に動きを起こさせるきっかけや動きたくなる要素を取り入れてみてはどうかと…。提案させて頂いた当初は、おふたりがイメージしていたものと違うものになってしまうのでは、と戸惑われていらっしゃいましたが、その後何度かお話をさせて頂き、“どうしてこの提案をしたいのか”その理由をしっかりとお伝えしたところ、受け入れていただくことができました。

パーティは3部構成にしました。
まずは一般的な披露宴をイメージしたプロローグ。しっかりと着席していただき料理を提供、上質感のあるホテルウエディングを感じてもらえるようなサービスを行いました。アンティークなショーケースに写真を飾るなど、室内は、おふたりらしくシックな雰囲気に…。

続いてはミドル。トランペットの演奏を始まりのファンファーレに見立て、いよいよガーデンをオープン! 窓が開くと料理の薫りが広がり、生演奏が聞こえます。音に導かれるように、自然とゲストの皆様が外に出て行き、次の舞台であるメインのテラスへ…。気候が良かったこともありますが、ほとんどの方がガーデンで過ごされ、親戚の方もソファーに座ったりなどして楽しまれていたのが印象的でした。おふたりの出会いがホームパーティーで、今もよくパーティーをするとのことでしたので、その様子を再現するように仕立てていきました。

最後のエピローグでは、導線に印象的なオブジェやおふたりのお写真を貼り、それを見ながら進んでいくと広いガーデンに到着するという仕掛けを作りました。その時には、すでに皆様が自由なスタイルに慣れてきていましたので、広い軽井沢のガーデンの中で思い思いの過ごし方をされていましたし、最後は全員に集まっていただけるようにおふたりのダンスや歌などを取り入れ、ゲストの皆様からは手拍子や歓声が沸き上がり、全員が一つに調和してハーモニーを奏でるというクライマックスに至ることができたのです。後半は私も感動して、思わず泣いてしまいました(笑)。

ストーリー性を入れてご案内することで、おふたりが思っていた以上の結婚式になったという自負がありますし、お式後も「結婚式って一瞬だけど、振り返った時にこんなに幸せな気持ちになれて、改めて家族や友人を大事にしようと思えるものなんですね」というお言葉を頂きました。私自身も、何か大きな壁を1つ乗り越えられたような…そんな結婚式となりました。

インタビュー日: 2018/09/14
インタビュー日: 2018/09/14
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