【プランニングのこだわり】
おふたりの話をとにかく聞きます。といっても、私からあれこれ質問はしません。おふたりでずっと好きなことを話していただいて、私は少しだけファシリテーターの役割はしますがほとんどしゃべらず聞いています。そうやっておふたりを俯瞰して見ていると、だんだんおふたりの大事なもの、結婚式のコンテンツとして正しいものが私には見えてくるんですけど、自分からは言いません。おふたりから答えが出てくるまでナビゲートだけをしていきます。
なぜそんなことをするのか。私は「人が選択した時にはかならず過去がある」というのが持論。価値観は過去の集合体で出来上がっていると思うので、お話を聞きながらその過去を見つけにいくんです。例えばインスタグラムの写真を持って来られたら、それを検索するときに「#(ハッシュタグ)」はどうつけたのか?「#」は悩みのキーワードだから、何を悩んで、それは過去に何があったからで、誰に何を言われて、それで何が変わったのか、というように、顕在化されていないインサイトをおふたりの会話の中から探りにいきます。探るときは、感覚ではなく定性と定量で。例えば会話の中で何度も同じ言葉がでてきたら、それを正の字で記録しておいて、「10回言っていましたよ」と提示したりして、ぼんやりしているイメージを言語化して、図解して、体系化して、それを少しずつおふたりに向けてお伝えしていきます。最初は時間がかかるんですけれども、そうやっておふたりの中から出てきたものを拾っていくといろんなものが整理されていって、式の3か月くらい前にはもう「これでいいよね?」で大丈夫になるんです。100個選択肢があったとしても1択か2択に絞れてきて、こっちでいいよね、でだいたい間違わなくなります。おふたりの中から大事なことが出てくるときって、投げられたボールが止まるような感覚。「この球打てば大丈夫」と思える感覚。そうやって、おふたりにとって最良のジャッジができるまで、ひたすら話を聞くのがマイポリシー。
意外とカップルの皆さんもこの作業をするのは嫌ではないみたいで、「いい機会だから、自分のこともっと考えてみよう」となることが多いですね。そうやってお互いを知る過程に「夫婦の幸せの定義」が見つかる尊い瞬間が詰まっていると思うからだと思います。私はそれを、探りながら自分が主にならず、ナビゲートしていくようにしています。