IWAI OMOTESANDO
森 裕美さん (2/7)
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新婦家族に“雪解け”をもたらした1シーン

ーこれまで、どのような“原体験”を生み出してきたのか、森さんのプランニング例をお聞かせください。

最初、新婦のお父様は結婚式には出席しないとおっしゃっていました。職業は画家というお父様は普段から家にいる時間も少なく、家族で食卓を囲んだこともない、新婦によると「儀式のようなものに時間を使うのはもったいない」といった考え方をなさっていたようです。

でも新婦は「母だけが家族に対する責任を果たしてきた」などと話す一方で、寂しさを感じていることも読み取れ、結婚式当日は、お父様が家族に感謝を伝えるシーンを設けたいと考えました。
そのためのファーストステップは、まずお父様に結婚式への出席を約束してもらうこと。説得するために、新婦からこまめに連絡を取ってもらったり、誕生日には手紙を書いたりと働きかけてもらいましたが、「やっぱり無理・・・」と諦めかけたこともありました。それでも「この機会を逃したら永遠にこのままですよ!」と自分にも言い聞かせるつもりで、諦めそうになる気持ちを鼓舞しながら支えました。ついに、なんとか出席の約束までこぎつけたものの、「パーティーでご家族に感謝を伝えましょう」というリクエストには、当然、なかなか「YES」の返事をいただけません。ところが結婚式当日、新婦お父様はお母様に対し、「これまで本当にありがとう」と一言伝えてくださったのです。トレードマークのサングラスの奥には涙が光り、お母様も感涙されている、その様子に会場全体が感動に包まれ、ゲスト全員の記憶に残るシーンとなったのではないかと思っています。

結婚式のコンセプトは「celebration」。一見、明るく何の悩みもなさそうなお2人でしたが、ヒアリングしてみると、実はコミュニケーションが苦手で悩んだ時期があり、新郎はビジネススクールに通ったり、新婦は演劇や声優にチャレンジするなど、努力を重ねて今のお2人があることが分かりました。私は「葛藤を乗り越えたお2人に心から拍手を送りたい」「お2人はお互いの努力を承認し合える存在だ」と感じ、結婚式ではお2人に「幸せになっていいんだ」と、これまで頑張った2人自身を肯定し、祝福してほしいと考え、コンセプトを導き出しました。

この結婚式で、私はあえて挙式をパーティーの後に組み込みました。挙式では、お2人が自分と大切な人の人生に心からの拍手を贈れるようにしたい、そんな気持ちでバージンロードを歩いていただきたいと考えたためです。
結婚式の後、新婦のご家族は全員揃って食事に出かけるようになったり、お父様は新婦に連絡してくれるようになったりしているそうです。さらに新婦は、CRAZY WEDDINGの一員として私の大切な仲間の1人になってくれました。結婚式という節目が、お2人とそのご家族に良い影響をもたらすことができた事例の1つではないかと思っています。

インタビュー日: 2019/01/17/場所: IWAI OMOTESANDOU
インタビュー日: 2019/01/17
場所: IWAI OMOTESANDOU
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