【印象に残るプランニング】
「私はカツラなのですが大丈夫ですか?」と尋ねられた新婦様。話を伺ってみると、病気で髪の毛がないとのことでヘアメイクの心配をされていました。私は、ベリーショートの新婦様がロングのウィッグをつけてヘアメイクされたお写真をお見せし、「このような例もあるので問題ないですよ」とご説明しました。さらに不安を払拭するため、ヘアメイクのリハーサル前に美容師に相談できることも合わせてご提案させていただきました。
実はこちらのおふたり、私のところへいらっしゃる前に結婚式場にも足を運ばれていて、でもその際は相談できなかったそう。「大和田さんだから言えた」と言っていただけたことを覚えています。
「大和田さんのところには、何かしら訳を抱えた方がいらっしゃるんですか?」と、よく聞かれるのですが、私はむしろ「訳のない人なんていない」と思っています。例えば、新郎新婦様ご本人にはなくても、ご両親がご病気のこともあるかもしれません。3人姉妹で真ん中の姉とはすごく仲が悪いということもあるかもしれません。口にしないだけで、みなさま様々な「訳」があると思います。それを、どこまで私を信頼して話してくださるかということが大事なのです。
私自身がお客様から何かお話を引き出そうとしたことは一度もありません。それでもお客様が言いにくいことも話してくださるのは、私がありのままだからではないかと思います。こちらが自然体でいれば相手もそうでいてくださいますから。
私は病院での結婚式もおこなっておりまして、今年は新郎様が末期がんのカップルと、新婦様が末期がんのカップル2組の結婚式を担当させていただきました。私の仕事はいつどんな状況においても“結婚式をつくること”ですから、「お気の毒に」「かわいそうに」と感傷的になることはありません。ですから、新郎新婦様も気持ちが楽になるのではないかと思います。
先ほどのヘアメイクを気にされていたお客様も、打ち明けたときに同情するような感情が顔に出てしまう相手には、きっとお話されたくないと思います。そこを平然と「ではヘアメイクはどうしましょうか」と次のステップに進めるかどうかが、お客様が心を開いてお話しいただけるかどうかにつながってくるのかもしれません。