【印象に残るプランニング】
この結婚式が、とは選べないんですけれども、自分もふたりも結婚式をひとつのプロジェクトとして同じ方向を向いて、課題を解決しながら進んでいるな、と感じられる時にやりがいを感じます。どこで挙げるかによって、行政の問題があったり許可をとらないといけなかったりなど様々。どうしてもできなければ別案を提案したいので、交渉人となって課題を解決しながら着地点を見つけていく、そんな結婚式が印象深いかなと思います。
初めての場所で先陣を切って結婚式をすることも多いんですが、例えば、愛知県半田市にある、明治時代にカブトビールの製造工場として建てられて、今はミュージアムとなっている「半田赤レンガ建物」で結婚式をしたいというおふたり。キッチンもないのでケータリングの手配をし、それほど広くない空間に120人ものゲストを入れられるようにセッティングしたり、台風が近づいていたりと難題は山積み。でもちょうど設営の15分前に雨がやんでくれたり、市長さんもいらしてくださって、市全体でお祝いをしてくださるような雰囲気になって…。地元のゆるキャラも登場したんですよ(笑)その時のおふたりの達成感というか、清々しい表情を見た時に、すごく報われた気持ちになりました。
六本木の国立美術館で結婚式を行ったこともあります。
おふたりは設計デザイナーだったので、人工的な結婚式のイメージは考えておらず、この先10年20年と残る場所で挙げたいと考え、ぴったりきたのが国立美術館。当日は、美術館が閉館時間となってからの結婚式となるので、開催は夜。設営の時間も一時間くらいしかなかったので、おふたりと一緒に「せーの!」でセッティング。美術館ということもあり、虫や花粉が入らないよう生花もNGだったので、クレープペーパーでお花を一輪ずつ形づくって会場装花に。場所もさることながら、新郎新婦と一緒に準備できたその時間が、おふたりにとってもご自身で手をかけたという想い出になっているなと感じられた瞬間でした。
大変だった結婚式ほど印象には残っていますが、「これしたいけどどうしたらいい?」、「ここで挙げたいけどどうしたらいい?」を自分で交渉して、解決して、どうしたらいつも違う結婚式を作ることができるのかを考えるのはとても楽しいです。新郎新婦が違えばひとつとして同じものはない。それぞれのいい意味での違いや個性をアウトプットしていくのがやりがいです。