印象に残るプランニング
たくさんあるのですが、その中でもお伝えしたいのは今年のグッドウエディングアワードで出させていただいたお二人の結婚式が一番心に残っています。プランナーとして勤めてきたこの10年間で初めて「このままプランナー人生終えてもいい」と思えたくらい、心が満たされた結婚式だったんです。
それは「ムスビ」という結婚式のテーマの中で、お二人のこれまでの人生で大切にしてきたこと、これから生きていく上で大切にしていきたいこと、私自身が生きていく上で大切にしていきたいという想いが全部リンクして結ばれた結婚式だったからなんじゃないかなって思ってます。
誰しも少なからず人に対して羨ましい気持ちがあったりすると思うんですが、「自分だからこそ幸せなんだ」というのを結婚式を通じて感じてもらいたいとすごく思っていて。そういう風に思ってもらえるようにするにはどうしたらいいんだろうと考えたときに出てきた答えが、「自分でしか得られない人間関係」「人との繋がり」「これまで過ごしてきた時間」の3つです。これらのことを肯定することができたときに一番幸せを感じることができるんじゃないかなと思いました。それを一番感じてほしいという想いが結婚式での「ムスビ」というテーマに繋がりました。お二人の想いをアイテムに宿してそれがゲストのみなさまにも伝わったなと思えるような結婚式だったので、やりきったなと思えました。
そもそも結婚式以前に、結婚は素晴らしいなと思えた結婚式でもありました。世界に70億人もの人がいる中で、お二人が出会って、こんなに素敵な方々に囲まれて結婚式をしたんだなというのをお二人を見ながら考えていたら、そこに携われている自分は幸せだなとも思えました。
最初、お二人が会場に見学にいらしたとき、ご新郎さまのお母様とご新婦さまのお父様が天国にいらっしゃるので、そのお二人にしっかりと届けたいという気持ちから「天国に一番近い場所で結婚式をしたい」と考えていらっしゃいました。
でも、その中で自分の中で引っかかる部分があったので、お二人の周りにはどんな方がいらっしゃるんだろうというお話をさせていただいたところ、お二人の口から「私たちは人に恵まれて周りには素敵な人がたくさんいる」という言葉を口々におっしゃっていたので、天国だけじゃなくて、これまで関わってすべてのみなさまと繋がっていく感謝を伝える結婚式にしましょうと、方向転換しました。
しかし、テーマが一日では決まらなくて、3人がそれぞれ持ち帰っている最中にお二人が映画館に行って「君の名は。」を観たんです。その劇中に「ムスビ」という言葉が出てきて、映画の中での「ムスビ」の意味は糸を結ぶだけじゃなくて、人との繋がりや時間の流れも「結び」だということが描かれていて、それがお二人の中でしっくりきたこともあり、「ムスビ」がテーマになりました。
ただ、私自身ウエディングテーマを、単なる結婚式のテーマではなく、ご新郎新ご新婦様がこれから歩み始める人生におけるテーマ、すなわち合言葉だと考えているので、ただの映画の引用のテーマにとどめたくなかったのです。そこで、「ムスビ」という言葉はそのままに、お二人が大切にしている、これまで出会ったすべてに方たちとの結びつき、時間と時間の結びつきという、お二人ならではの「ムスビ」の解釈というのを付けたのが今回のテーマの背景にありました。
言葉が好きというか、言霊というのを信じているので、結婚式のテーマにちゃんとお二人の想いが反映されているのかというのはいつも大事にしてます。