印象に残るプランニング
初めにお会いした時はなかなかうまくコミュニケーションがとれなかった新郎様。いろいろ伺っても全然答えていただけず、ご希望もなく、「嫁がやりたいと言うから」とだんまり。ちょっと怖い雰囲気もありましたが、表面上強面に見えてもきっと想いはあるはず、と思いどんどん突っ込んで話をしていくうちに、それまで椅子の背もたれに寄りかかっていた新郎様が前のめりになってくださる瞬間が!
そこからお話を聞いていくと、「実は両親が離婚していて」と。どうやら結婚式に対してテンションが上がらなかった背景には、ご両親への複雑な想いあることがわかりました。
新郎様はずっとお父様と暮らしていましたがお母様とも連絡はとられていて、できれば結婚式にはお母様もお招きしたい。でもなかなかそのことをお父様には言い出せずにいたそうでした。
それをお聞きして私は即、「ぜひお母様もお呼びしましょう!」とお伝えしていました。それぞれのお気持ちを汲み何ができるかを考え、お父様に会場見学にお越しいただきチャペルの中でお話をしてみませんかとご提案。新郎様に直接、お母様も招待したいお気持ちを伝えていただきました。チャペルから出てこられた新郎様は「父に話せました」と笑顔に。
そして当日は、「挙式と披露宴には参加できない、けどおふたりをお祝いしたい」というお母様の気持ちもあり、挙式本番前にチャペルでお母様とご対面、新郎様からお母様へお手紙を読んでいただき、花束をお渡しする、という時間を作らせていただきました。お母様はそこで帰られる予定でしたが、皆様のお心遣いにより、フラワーシャワーまで参加いただき、晴れ姿を見ていただくこともできました。式後、新郎様からは「やりたいことが叶ったし、母にも晴れ姿を見せることができてよかった」と嬉しい言葉が。当初は結婚式を挙げるのがどうかも悩まれていたので、お手伝いできたことが本当に嬉しく、当日は感動で涙なしでは見ていられない1日になりました。
私は入社当時、「人の話をちゃんと聞く」ということが苦手でした。どこまで聞いていいのかわからない、どうやって聞いたら相手を不快にさせないのかがわからない、と壁を感じていました。ですがテイクアンドギヴ・ニーズでは、「お客様の潜在欲求を見出す」ことをとても大事にしています。新人時代、先輩方に何度も何度もロープレを繰り返し行ってもらってその壁を乗り越えたら、今ではお客様のお話を聞くのが楽しくて仕方がないんです!いろんなことが知りたくてたまらない!
最初は心を開いていただけなかった新郎様が、心の深いところをお話くださったことで実現したこの結婚式は、改めておふたりの話をちゃんと聞いて、理由や背景を知ったうえでご提案していくことの重要性を感じさせてくれた一日となりました。