CASE1《転職相談から読み解く》企業のエンゲージメント向上策

《転職相談から読み解く》企業のエンゲージメント向上策
(ブライダル産業新聞紙面4月21日号にて連載)

お悩みCase.1 26歳(女性)ウェディングプランナーからの転職相談
【週末のお休みを月に一度、いや年に1度だけでも。せめてこの日だけは・・・】

大卒新卒で入社したゲストハウスにて、新規接客から施行担当まで一貫制のプランナーを4年経験した26歳の女性からキャリア相談の問合せが入った。転職希望はウエディング業界外の仕事で事務職を希望していました。カウンセリングにて4年間の経験や転職を希望する背景などを掘り下げていくと、ウエディングプランナーの仕事はとてもやり甲斐も大きく自分自身にはとても向いている職種であること、それは本人も認識している模様。ではなぜ?ウエディングプランナーをやめてしまうのか?大学を卒業後、周りの友人たちが結婚するようになった。ある日、地元の高校時代の1番の親友から、LINEで結婚の報告と半年後の結婚式の日程の連絡が入った。半年先、それは9月の施行繁忙期。会社の雰囲気も重なり、支配人に休みをもらう相談もできず泣く泣く友人に欠席の連絡をした。毎週土日を休みたいと思っているわけではないが、結婚式を作る身として、1番の親友の結婚式には参列したかったと涙を流す。

まず一つ目に着眼しなければならないのが、会社の雰囲気(風土)。結婚式を提供する企業として週末が商売の最前線であるため、土日休みが取りづらい事は多少理解もできる。しかし、休暇届の相談をしづらい職場の雰囲気や、出すことが悪だと思わせてしまう会社の風土に関しては注意をしておかなければならない。

会社の風土が会場の雰囲気に繋がっていくものだが、どんなに些細なことでも気軽に相談できる支配人の人柄が大きく左右してくる。大袈裟かもしれないが、ちょっとした顧客からの苦言なども相談しづらい支配人であれば、全ての報告が漏れがちになってしまう。この求職者も思い切って支配人に休暇の相談をしていれば、転職を考えるまで落ち込まないで済んだかもしれない。

次に、友人の結婚式に参列する経験を会社としてどのように捉えるか。社員が土日に有給を取得し自社のオペレーションに負担がかかるというマイナスな側面だけでなく、自社会場以外の結婚式を体験するマーケティングのプラスの効果もあると捉えることができる。多くのブライダル企業では、他企業の施行を見る事はなかなかできない。顧客ターゲットに近い年齢のプランナーが友人の結婚式を通じて、他社の施行を体験し良い部分を持ち帰り、課題は自社ではやらないよう学ぶことによって、自社の施行クオリティが伸びていくのではないだろうか? いくつかの企業は仕組みとして自社スタッフが参列する際の費用の一部を負担し、積極的に友人の結婚式に参列するよう促している。参列した感想をレポートにまとめメンバーに共有しているのだ。

もう一点付け加えると、週末のカップルのリサーチを目的に、自社会場の周辺を楽しんでみるのも良いのではないだろうか。例えば 会場が表参道であれば、カップルたちはどんなお店でランチ、ショッピング、お茶をしているのか?どんなお店が流行っているのか?どのくらいの人混みなのか?平日の休みでは感じられない、カップル目線の情報がキャッチできるかもしれない。プランナーが会場周辺の情報通になることで、来館前のデートスポットなどをカップルに提案できればさらに素敵となる。

なぜかブライダル業界の人事制度などの仕組みに関して、後手になりがちな印象を持ってしまう。これからの時代、幅広い目線で会場の運営が必要。是非参考にしてみてほしい。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月21日号)
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